逆転の発想で生まれた
歯を削らない補綴物
3DRは平成30年6月から本格的にはじまった新しい治療法です。まずは3DRの特徴をあげます。大きな特徴としては「歯をできるだけ削らないで治療を行う」ということです。従来の歯科の治療では、何かを削ることで成り立っていました。それを「歯を削らない」という真逆の発想で生まれた画期的かつ革命的ともいえる治療法です。
歯科の歴史と
3DRの名前の由来
まずは言葉の整理ですが、「補綴」は歯がなくなった部分を人工物で補うことをいい、作られた物は「補綴物」と呼びます。種類として義歯(入れ歯)、詰め物、被せ物、ブリッジ、インプラントなどがあります。
歯科の歴史にまず登場するのは義歯(入れ歯)です。徳川家康が義歯を入れていたのは有名な話です。この頃は歯を治すことができず、なくなった歯を再現する義歯しかありません。義歯は第1番目の補綴といえます。
次に登場したのが、詰め物、被せ物、ブリッジ、インプラントです。まとめるなら、義歯以外の補綴物です。作るために歯や骨を形成します。形成は補綴物を入れるために形を整える処置です。インプラントは骨を形成してインプラント体を入れます。形成して装着する補綴は第2番目の補綴といえます。
そして3番目に登場してきたのが、3DR(The3’d Dental Restoration)です。第3番目の補綴(第3の補綴、第3の義歯)と呼んでいます。
3DRと義歯の違い
ここの説明を読む際は、「3DRと義歯の違い」(説明写真)も一緒にご覧ください。3DRは入れ歯の進化したものにも見えますが、まったく違うものです。噛む力を咬合圧といいますが、咬合圧を3DRは歯のみで支えます。それに対して、義歯は咬合圧を歯と顎堤(歯がなくなって歯肉だけになった部分)で支えます。
咬合圧に対して歯はあまり沈まない。だが顎堤の歯肉は沈む。二つの差は歯を支える歯(鈎歯といいます)に負荷がかかります。それにより鈎歯が駄目になることがあります。これは義歯による補綴が最初から抱えている問題点です。
3DRが咬合圧を歯のみで支えるという方法を取ることで、義歯が抱えていた問題点を克服すると同時に、義歯の欠点である異物感を払拭することができるようになりました。説明写真を見るとおわかりいただけると思いますが、3DRには義歯にあるピンク色の床はありません。
3DRとブリッジの違い
その1
ここの説明を読む際は「3DRとブリッジの違い1」(説明写真)も一緒にご覧ください。ブリッジがわからない方は説明写真を見るとおわかりいただけると思います。
3DRとブリッジは両方とも咬合圧を歯のみで支えます。この点は共通しています。違いは、歯を削るか削らないかです。ブリッジは固定式であることから、支える両側の歯(支台歯)を平行に削らないといけません。その点3DRは削らないことを前提に生まれたものです。また、ブリッジは固定式で3DRは可撤式で外すことができます。そのため、3DRは修理できますが、ブリッジは修理できません。
3DRとブリッジの違い
その2
ここの説明を読む際は「3DRとブリッジの違い1」(説明写真)も一緒にご覧ください。ブリッジは固定式で、よく噛める補綴物です。反面、説明写真の左上の青丸の所は磨くことが難しいです。磨くとしたら左下のように歯間ブラシを使う必要があります。
3DRもブリッジと同じく汚れが溜まる所はありますが、外して磨くことができます。また、義歯だと毎食後外す必要がありますが、3DRは朝付けたら夜まで外して磨く必要がありません。この点は3DRを入れていただいた患者様には大好評です。また、3DRならほとんど違和感なく使えます。3DRはブリッジのように使えて、外して磨くことも可能です。