検査および診査診断
まず主訴であるお困りのこと、問題点をお聞きします。
次はお口の中の状態を調べます(レントゲン撮影、口腔内写真、歯周病の検査など)。必要な場合は、CT撮影も行います。
治療計画
主訴をもとにどのように治療していくかを決めます。
自費診療を希望されても、実際どのようなものかわからないのが現実だと思います。また、金銭的な問題も生まれます。納得していただいてから次に進むための時間と思っていただいて間違いないと思います。
重要なことは、保険自費を含め、治療方法には利点・欠点があることを知ってもらうことです。自費に関しては補綴物ガイドにも詳しく載せてありますので、そちらもご覧ください。
基本治療
基本治療は保険診療で行えます。まずは項目だけ挙げていきます。
1.歯周治療(スケーリング、SRP、TBIなど)
2.根管治療(根の治療)
3.仮歯や入れ歯の作製・修理を行う(噛み合わせを作る)。
「基本治療」と「補綴・修復治療」はまったく別々のことではなく、治療の際は同時進行のものもあります。
時々、まったく噛むところがない人が来院されることもありますが、その場合は義歯作成をします。何をいいたいかというと、まず基本治療は痛みを取る。痛みがなければ噛めるようにするが第1番目です。その後に1の歯周治療を開始します。歯を失う原因の1位は歯周病です。歯周病は細菌感染による歯肉の炎症です。そのため、歯肉の炎症の原因である細菌除去を行います。歯石は細菌の塊であり、根こそぎ取り除いていきます。歯垢は歯石の前の段階であり、歯ブラシで毎日取るのが歯周病の予防方法です。
2の根管治療は歯の神経が死んでしまった場合に行う治療です。カリエスが神経まで達してしまったことが原因です。文章より説明写真のレントゲンを見ていただくとわかると思います。神経が死んでしまい、細菌が根の先まで達してそこで数を増やした結果、骨を溶かし歯ぐきを腫らす原因になります。問題は根の先ですが、原因は歯の根管が汚れていることからはじまります。そこをキレイにしておかないと、上にどんな補綴物を入れても意味がありません。被せてから腫れたら外さないと治療ができないためです。歯ぐきが周期的に腫れる人は、歯周治療か根管治療が必要かもしれません。
3の仮歯や入れ歯の作製・修理を行う。これは文字通り噛み合わせを作ることです。治療が長引く場合はそれまで噛めるようにすることです。頻度的には3番目ですが、重要度は1番目です。
補綴・修復治療
噛み合わせを作る段階です。自費に関しましては、別ページの補綴物ガイドに詳しく載っていますので、そちらをご覧ください。
保険でも補綴・修復処置ができます。まずはよく聞かれる前歯についてですが、前歯も保険で白い歯が入ります。名前はレジン前装冠といい、白い部分の素材はレジン(樹脂)でできています。確かに白く見た目も悪くありませんが、レジンは経年劣化や吸水性があり、色が変わるのが欠点です。また、正面からは見えませんが裏側は金属です。(説明写真参照)仕組みは金属の冠にレジンをくっつけています。そのため、その部分から壊れることもよくあります。それに対しセラミックは変色しませんし、単体なので境目からの破折もありません。壊れるという悪いうわさもありますが、いまのセラミックはかなりの強度があり、壊れにくくなっています。
今度は臼歯についてですが、保険の臼歯はすべて金属であり、銀歯とも呼ばれています。金属ですから、強度は問題ありません、むしろ金属に比べたらセラミックは弱いですが、通常の咬合圧ではセラミックは壊れません。金属と違いセラミックは見た目は自然の歯と同じなのが長所です。
義歯に関しましては、補綴物ガイドの金属床に詳しく書いてありますのでご覧ください。
定期健診
(メンテナンス)
歯を失う原因はカリエスと歯周病です。どちらも細菌による感染症です。お口の中には300~400種類の細菌がいます。その中でカリエスは、ストレプトコッカス・ミュータンス(MS菌)。そして歯周病原因菌は複数あり、その中でとくにアクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどが深く関わっているといわれています。
口の中の細菌は減らすことはできても、なくすことはできません。そのため、時間の経過とともに数を増やしていきます。その予防には歯ブラシが必要になります。それに対抗するかのように、細菌たちも生き残りをかけてバイオフィルムというものを形成します。これは色々な細菌たちが絡み合い幾重にも層を作っています。そのため、一度バイオフィルムが形成されると、歯ブラシでは落とせなくなります。そのためには歯科医院でバイオフィルムの除去を定期的に行うことが必要になります。治療が一度終わったら、そこからは予防のはじまりです。ぜひ、定期健診にお越しください。
よくある質問FAQ
- Q 補綴物はどれくらいもちますか?
歯が支えている補綴物は、支えている歯の寿命が、補綴物の寿命といえます。支えている歯がなくなると、使えなくなるか、大幅な修理が必要です。3DR、義歯は可撤式なので修理は可能ですが、その他の補綴物は修理ができません。
また、インプラントはよく磨かないと歯周病と同じようにインプラントの周りの骨がなくなります。そのため、インプラントの寿命は支えている骨が健康な間といえます。
支えている歯の歯周病とカリエス、そしてインプラントの場合は、歯周病をいかに防ぐかで補綴物の寿命が決まります。
- Q 定期健診は必要ですか?
歯周ポケットが4mm以上の方は、3ヶ月程で歯周ポケットの菌が増殖して、掃除が必要になるといわれています。また、歯の表面に細菌によるバイオフィルムが一度形成されてしまうと、歯ブラシで落とせません。そのため、定期的に機械的歯面清掃する必要があります。
ここで問題なのは保険診療には予防という考え方がありません。保険診療では歯周病の治療として、歯石をとるスケーリングという治療しかありません。この場合は原則2回以上の来院が必要になります。回数に関しては「治療回数詳細」をご覧ください。
- Q 治療は何回ぐらいかかりますか?
治療回数については、「治療回数詳細」ページをご覧ください。